イーストで発酵させると薬効高まる冬の野草ドリンク

 

著者 : 村上光太郎
 野草をそのまま食べても、調理して食べても、加工して食べても、程度の差はあるが、体に取り込まれると何らかの作用を表わすことになります。ただ、胃の具合や腸の調子で吸収の程度は異なります。

 ところがそれを発酵させてつくった液を服用すると、アルコールの作用も加わり吸収が非常によくなって、効果が明瞭になります。

 冬に向かう今、手に入った野草を発酵させて、健康ドリンクをつくってみてはいかがでしょうか。

今からでも遅くない! 強壮・解毒、そしておいしい

— ドクダミの根酒 —


 7月号をご覧になって、初夏にドクダミの発酵酒をつくられた人もおられるでしょう。「間に合わなかった」と思っている人も、これからつくることは可能です。ただ、旺盛な緑の葉っぱでつくることはできませんね。

初夏にはこんな花が咲いていたところの地下を掘ると…

白く丸く太った根っこがいっぱい!これを使おう
 しかし、夏にドクダミが繁っていたところに行ってみてください。そこにはドクダミの地上部が枯れているのを見ることができるでしょう。いや日当たりのよい場所では、ひょっとしたら小さな新芽が見られるところもあるでしょう。でも、枯れかけた茎や小さな新芽を集めるのは大変だし、それではドクダミ酒はつくれません。

 その土地を少し掘り返してみてください。ドクダミの根は特徴があります。白く丸く太っており、根には1~2cmおきに薄茶色を帯びた皮が付いているのですぐに他の根と区別できます。ドクダミの根を採るというと大変なようですが、実際ドクダミが生えていたところを掘ってみると、その根が非常に多くあるのに驚かされます。

 根を採集したら、きれいに洗って、地上部でつくったと同じように刻んでジューサーにかけます。ハチミツを5分の1から6分の1ほど混合し、イースト菌(パン用酵母、ドライイースト)を混ぜて発酵させると、おいしいドクダミの根酒をつくることができます。混合したら部屋の暖かい所に置いて、2~3カ月熟成させてください。リンゴ酒と間違えるような美味なお酒が出来上がります。

 ドクダミは、根のお酒も地上部と同様、強壮効果をはじめ、解毒効果もあり、何よりも美味しいお酒として服用いただけると思います。初夏につくり忘れた人も、今の時期につくって飲めば、元気で春を迎えることができます。

松葉サイダーは、冬の松葉でもつくれる
冬に葉があるもの、それはアカマツ

— 松葉サイダー —

 今の冬の時期に葉のあるものといえば、アカマツがあります。マツバの発酵酒は、別に冬につくらなければならないものではありませんが、つくれるので挑戦してみてください。ただ温度が低いので、日当たりのよい、日だまりのようなところにおいて発酵を促進してください。

 まず、一升瓶に砂糖100g入れ、刻んだマツバを入れます。量は、瓶の中にどんどん入りにくくなるまで入れます。その後はイースト菌を入れ、水を8分目まで入れ、あとはじっくり待つだけです。途中、布でこして、さらに発酵させる方法もありますが、マツバを除かず、飲みきるまで入れておくほうが効果がよいように思います。

— アマドコロ —

左はナルコユリの根、右がアマドコロの根。どちらも同じ薬効で、同じように美味だが、ナルコユリの根はゴツゴツしており皮をむきにくいという点で、アマドコロのほうが使いやすい(黒澤義教撮影)
若返りの妙薬 さあこれから第3の人生を!
アマドコロ根の濁酒
 庭の隅に植えていたアマドコロも掘ってみましょう。思った以上に多くの根茎がとれると思います。皮を剥いたらその皮は唐揚げにしたり、刻んでハンバーグ状にしたりします。皮を除いた根茎のほうは、そのまま短冊状に切り、わさび醤油か酢みそで食べるのもよいでしょう。すりおろして、だしで割って、とろろ芋のようにご飯にかけて食べるのも美味しいものです。

 こんな美味しいものを、なんでわざわざ発酵させるのかと怒られそうですが、すりおろした根茎にハチミツを5分の1量程度加え、イースト菌を混ぜて2カ月ぐらいすると、一風変わった濁酒ができます。強壮強精効果もあり、シミ・ソバカスをなくし、気力を付けてくれます。

 このお酒を飲んで、「さあこれから第3の人生を」と80歳代の老人ががんばっておられます。そんな年齢になると、視力も記憶力も低下して、手足などももつれやすくなるものだ、とあきらめている方、アマドコロの濁酒を飲み続けて若返りましょう。

血流・冷え性改善、関節痛・筋肉痛、視力・記憶力にまで卓効
セキショウの根酒
 しかし、もっと積極的に変化を望む人は、谷川にあるセキショウの根茎を採集し、これをミキサーでドロドロにし、2~3割の水と同量のハチミツを加えてよくかき混ぜ、イースト菌を加えて発酵させます。発酵しにくいので少しイースト菌の量を多めにしてください。

— セキショウ —

 2カ月ぐらいから味見をして、美味しそうになれば服用を始めてください。お玉で押し付けるようにして、水気の部分をすくい取り、布で濾過したものを服用。血流がよくなり冷え性が治るとともに、関節や筋肉の痛みを和らげ、視力や記憶力を回復してくれます。

 生のセキショウが手に入らない人は、石菖根を薬局で購入し、小さく刻んで5倍量の水で炊き出し、3倍量程度まで煮詰めてから5分の1量のハチミツを加え、冷えてからイースト菌を入れ発酵させて、セキショウ酒をつくるのもよいでしょう。

とっておき! 誰でもできる健康回復
ヤマノイモもお酒に
 「そんな難しい材料は手に入らないよ」といわれる人に、最後に絶対入手できる材料を紹介します。ヤマノイモです。

 「そのまま食べたほうが美味しいよー」などといわずに、すりおろしたヤマノイモにハチミツ5分の1程度加え、イースト菌を混ぜてやはり2カ月ぐらいすると濁酒ができます。強壮強精効果があり、素敵な飲みものです。 (崇城大学薬学部)
参照:国立国会図書館サーチ